卒業生の皆さんの新たな門出にあたり、はなむけの言葉として2つのお話をします。
まず、「人は助けあって生きている」ということです。
皆さんは、三年間、いろいろな行事や活動の中で、ともに助け合って行動してきました。特に、昨年の体育祭では、「届け!茨西パワー 東日本へ」を掲げ、元気いっぱい、正々堂々と戦いました。応援団演技は、短い練習期間にもかかわらず、完成度が高く、34期生の力が表れました。クラス仲間が助け合って、趣向を凝らした演技を作り上げ、披露しました。仙台にご家族がおられる保護者の方が感激しておられました。生かされてあることに感謝して、仲間とともに懸命に取り組む姿は見る人に感動を与えました。
また、皆さんが入学した平成二十一年四月、私もこの茨木西高校に着任し、「茨西プライド」を合い言葉に皆さんとともに活動してきました。皆さんは素直で明るく優しい、伸びる可能性をいっぱい持っています。そこで、私は、皆さんがもっと活躍できる場を得て、達成感を持ち、自信を持ち、志高い目標に向かってチャレンジしてほしいと考えたのです。その活躍の場が地域の方々と助けあった「茨西プライド」の取組です。
「茨西プライド」のロゴ入りのベストやジャンパーを着てボランティア活動に参加した人たちは、清掃活動で清々しい気持ちになったと言います。お祭りや運動会で地域の人に喜ばれ、感謝されて、人の役に立つ、地域の為に役立つことに喜びを感じた人もいます。
「茨西プライド」の取組に、地域の方々の理解が深まり、皆さんは注目され感謝されて積極性をはぐくみ、自ら成長を実感するようになりました。
これからも自分の時間を、あなた方の力を必要としている誰かのために使えるよう、身体や頭を鍛えてください。自分の時間を誰かのために使うということは、命を輝かせて、よりよく生きるということです。それは命を尊重することであり、平和な世界を築くことにつながります。
次に、今日「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょうということです。
先ほど、私は、卒業生代表の芦田拓真君に卒業証書を授与しました。皆さんは、このあと教室で担任の先生から受け取ります。その卒業証書の一人ひとりの名前と生年月日は、校長の私が書きました。校長室で、皆さんの写真を見ながら、これからの幸せを祈って心をこめて書きました。名前を書きながら、皆さんの誕生の喜びの中で名前を付けられた保護者の方々の、祈りや願いに思いを馳せました。
幸せに、元気に、美しく、誠実に、優しく・・・名前に託されたご家族の愛情を感じ、「親思う 心にまさる親心」という言葉を思い出しました。
私たちは、親のおかげでこの世に生を享け、育てられました。子どもは親を思います。しかし、親というものは子どもが親を思う以上に子どもを思っているのです。
この卒業式という晴の日にあたり、これまでの長い間、皆さんをはぐくみ支えて、今日という日を待ち望まれたご家族に、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう。
このことに関して、私の心に残る詩の一節を紹介します。
私たちは 忘れないようにしたい
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを
だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつまでも
いつまでも大切な存在だということを
そっと伝えよう
「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう
これは、「最後だとわかっていたなら」という詩の一節です。アメリカの9・11同時多発テロの追悼集会で読まれました。
昨年の東日本大震災を初めとした悲しいできごとから、私たちも「当たり前に明日を迎える」ということがいかに恵まれたことであり、ありがたいことであるかに気付きました。「今」という時、「今日」という日を大事にして悔いの無いよう生きなければならないということに気づきました。
一人の人間が幼い頃から、本日の皆さんのように成長するまでには、ご家族をはじめ周囲の人々の温かい眼差しがいつも皆さんに注がれて来たのです。
本日、皆さんは、卒業証書を見つめながら、お世話になった人たちを思い起こし、どんなに感謝しているかを「ありがとう」と伝えてほしいと思います。
最後になりましたが、保護者の皆様、本校の教育活動に対しまして格別のご理解、ご協力を賜り、ありがとうございました。「我が子の母校が我が母校」と言ってくださる保護者の方々と学校との楽しい連携でした。まことにありがとうございました。
34期生の皆さん、「茨西プライド」の精神でそれぞれの道を、理想に向かって進んでください。
これからも、茨木西高校では、「“茨西プライド”地域とともにはぐくむ夢と志」を目標に教育活動を行い、後輩たちも夢と志をかなえることができるよう導いていきます。
ひとり一人の前途に幸多いことを心からお祈りして、卒業式の式辞といたします。