334号 第37回卒業式

本日(3/3) 第37回卒業証書授与式を行いました。

以下は、式辞の全文です。

春の息吹が感じられる今日の良き日、ただ今、卒業証書を授与いたしました260名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。また、様々なご苦労を乗り越えて、今日のこの日を待ち望んでおられた保護者のみなさまのお喜びも格別のことと拝察いたしますとともに、本校へのご理解とご協力に対しまして、厚くお礼申し上げます。

本日は、大阪府教育委員会ご代表 川浪 裕子 様をはじめ、多数のご来賓の皆様のご臨席を得まして、第三十七回卒業証書授与式を盛大に挙行できますことを、心から感謝申し上げます。(礼)

 私は、みなさんが一年生の時に着任し、三年間をともに過ごしました。時間があるときは、南門の下に立って「おはようございます」を言い続けて、三年になりました。三年間変わらず、元気にあいさつを返してくれた人、声は出さなくてもニッコリ笑顔で会釈をしてくれた人、始めのうち全く無反応だったのに、ある時からあいさつをしてくれるようになった人、日によって元気だったり落ち込んだりしている人、三年間いつもぎりぎりの時間に駆け込んでくる人、休みがちな生徒を見つけて、今日は来ているとホッとしたこともありました。

 地域の方には、あいさつだけしてんと自転車マナーなんとかせぇとお叱りを受けたり、毎日、会釈をしてくれるサラリーマンの方、あいさつを返してくれるお母さん、いつも寒いのに大変ですねと声をかけて頂くおばあさん、可愛い声でおはようございますと言ってくれる保育園児もいました。

 本当に、貴重な体験でした。皆さんも、在学中に様々な体験をして大きく成長したことと思います。

 さて、みなさんが生まれた平成8年(1996年)から平成9年(1997年)は、インターネットが一般に浸透し、ウィンドウズパソコンが登場した時代です。みなさんは、生まれた時からネット社会と触れ合って来た「デジタルネイテイブ」と言われる世代です。

 スマートフォンひとつあれば、居ながらにして世界中の情報を知ることができます。友達を集めなくても、ラインで複数の人とメールすることができます。みなさんにとっては、生活の一部であり、うまく使いこなせば、生活の幅も広がる事でしょう。

私が高校に入る前ぐらいの時、家に初めて電話が引かれました。友達との会話を親にきかれたくないので、コードがちぎれるぐらい電話機を動かして話をしたのを懐かしく思うのは、私だけでしょうか。今や、家の電話ではなく個人の電話です。そして、その機能は、会話以外に写真を撮ったり、音楽を聞けたり、インターネットができます。

私が、高校生の時には、そんな機械が発明されるとは、想像もできませんでした。ただ、マンガや小説などの世界では、多くの発明品が登場します。これは、今でもかわりません。そのもっとも有名なマンガは、何だと思いますか?

「ドラえもん」です。ドラえもんは、人々の夢を叶える「ひみつ道具」をたくさん持っています。その中から、どれを選び、どのように使うのかによって、夢の可能性は膨らんで行きます。ドラえもんの魅力は、人間が今も昔も変わらず抱き続けてきた夢を起点に展開する物語の多様性と広がりにあります。

 一方で実社会においても、私たち一人ひとりの夢が重なり合って社会の抱く夢となったもの、そしてその夢を科学技術によって実現しようとする科学者・技術者の存在があります。あるいは科学者・技術者が夢と技術を私たち社会に対して提案することもあります。つまり、私たち一人ひとりは皆、未来を創る参加者なのであり、私たちが願う夢や選択する技術によって、未来は変わるのです。

 ドラえもんの「ひみつ道具」のひとつに「ほんやくコンニャク」というのがあります。コンニャクをかじれば、どんな言語でも話せるようになります。今でも翻訳機能がついたスマートフォンがありますが、10年先には、コンパクトな音声翻訳装置が開発され、世界中どこへ行ってもあるいは月でも言葉が通じるようになるかも知れません。でも、道具に頼っているとそれがないと何もできません。

大事なことは、自分の未来を創るのは自分であるという事とその時代の優れた技術の中から、自分の夢を実現するのに必要なものがなんであるかを見抜く力です。

明日から、目の前に一人ひとりの未来へのドアがあります。それが「どこでもドア」になるかどうか自分次第です。

三年間言い続けてきたこの言葉を最後に贈ります。

「茨西PRIDE 志をカタチに 自ら気づく人を育てる」

 どうか、自分の未来を創るのは自分であるという事に気づき、やるべきことは何であるかを自分に問いかけながら、21世紀を担う人材になってください。

 

「Good Luck !」