197号 第36回 卒業式

茨木西:卒業式: (5)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春の息吹が感じられる今日の良き日、ただ今、卒業証書を授与いたしました264名の卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。また、様々なご苦労を乗り越えて、今日のこの日を待ち望んでおられた保護者のみなさまのお喜びも格別のことと拝察いたしますとともに、本校へのご理解とご協力に対しまして、厚くお礼申し上げます。(礼)

本日は、大阪府教育委員会ご代表 山本 益久 様をはじめ、多数のご来賓の皆様のご臨席を得まして、第三十六回卒業証書授与式を盛大に挙行できますことを、心から感謝申し上げます。(礼)

 さて、卒業生のみなさん 私はみなさんが二年生の時に着任し、一緒に修学旅行に行きました。北海道で民泊したときの地元の方の温かい思いやりや、変わることのない大自然の姿に感動したものです。

 皆さんは、在学中に様々な体験をし大きく成長したことと思います。

皆さんが生まれる少し前、平成7年1月17日に阪神淡路大震災が起き、高校入学前の平成23年3月11日には、東日本大震災が起きました。知り合いや親戚の方が実際に被害にあった人もいるかもしれません。阪神淡路大震災では、本校の特別棟も被害を受けたと聞いています。

あれから十九年の歳月が経ち被災地は立派に復興しました。しかしながら、東北は、まだまだ復興できていません。被災された方々は、我慢しながら一生懸命に生きておられます。

人は、我慢や辛抱をしなくなったらダメになってしまうと私は、思います。これから、皆さんを待ち受けている人生には、嫌な事いっぱいあるでしょう。また、それと同じぐらい楽しいことも沢山おこるでしょう。でも、自分の思い通りに成る事は、そう簡単に起こりません。自分自身が努力をして、多くの我慢や辛抱を重ねる事によって、はじめて掴み取る事ができるのです。

みなさんは、自分自身が恵まれていると思ったことはありませんか?

帰るべき居場所がある。生きていくのに十分な食事が用意されている。一日の疲れを癒せる湯船が用意されている。悩みを聞いてくれる人がいる。自分を愛してくれる人がいる。人を愛せる心を持っている。こんな事を当たり前だと思ったことはありませんか? 震災にあった人々は、帰るべき家を失い。毎日食べていた食事が、おにぎりになった。疲れた体を温めてくれるお風呂も満足に入れなかった。悲しみや悩みは、みんなが抱えているから話せなかった。愛する人を失った。でも、人々は、不平不満を言わず我慢をして、辛抱をして生活した。

だからこそ、手を差し伸べてくれる行為に感謝をし、ありがたいと思った。ありがたいと思うから大切にして、大切にするから懸命に生きようとした。私は、そう思います。

朝、親に起こしてもらうのは当たり前、先生は勉強を教えるのが当たり前、欲しいものを買うは当たり前、やってもらうのが当たり前だと思っているから、してもらえないと文句を言う、不平不満、愚痴しか出ない。そんなことでは、感謝の気持ちはわきません。しんどい、嫌だなと言う気持ちがあっても、それを我慢して耐える力がなければ、本当の意味での「生きる力」は育ちません。そのために、我々大人は、子ども達に我慢することを幼いうちから学ばせないとダメだと思います。

幸せと言うのは、そこにある量ではなくて、幸せを感じる心の力です。

我慢することのできない人間は、これがなくなってしまうと私は、思います。愛情には、厳しさが伴うのです。

卒業生の皆さん、忘れないでください。保護者の方、先生方、地域のみなさん、そして、数えきれないほどの多くの大人たちが、みなさんを温かく見守り、時には叱咤激励していただいたお蔭で、晴れて卒業という輝かしいこの場にいる事を。

21世紀に入り、日本を襲った未曾有の災害の後に、みなさんは、命を授かり、そして、高校生活をスタートとした。みなさんは、希望の星なんです。

みなさんには、できることがいっぱいある。一生懸命にその事実に向き合っていく茨西プライドを忘れないでください。「Be strong」、強くあれ、「Good Luck」

 以上を持って卒業式の式辞とします。

平成二十六年二月二十八日  大阪府立茨木西高等学校長  山田 亨